ソフトケースの生地はどう選ぶ?
用途に合わせた素材選定のポイント
ソフトケースの生地は、ナイロンやポリエステルといった素材名だけで選ぶのではなく、収納物の重量や形状、使用環境、必要な耐久性や水への対応などから選定することが重要です。
また、同じ素材でも、使用する糸や織り方、生地の厚み、撥水・コーティングなどの加工によって特性は異なります。
ここでは、ソフトケースを設計する際に、用途に合った生地を選ぶための考え方を紹介します。

ソフトケースの生地選びは「用途の確認」から
ソフトケースに適した生地は、収納するものや使用環境によって異なります。
そのため、最初から「ナイロンにする」「合皮にする」と素材を決めるのではなく、まず収納物や使い方を確認し、必要な性能を整理したうえで生地仕様を検討します。
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収納物・用途を確認
収納物の重量や形状、持ち運び方などを確認します。
01 -
使用環境を確認
屋内・屋外、水濡れの可能性、使用温度などを確認します。
02 -
必要な性能を整理
耐久性、水への対応、風合いなど、用途に必要な性能を整理します。
03 -
生地仕様を選定
必要な性能をもとに、素材、糸、生地の構造や厚み、後加工などを検討します。
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ソフトケースの生地を選ぶ5つのポイント
生地を選定するときは、素材そのものを見るだけでなく、実際にケースがどのように使用されるのかを確認することが大切です。
収納物の重量・形状
軽量なものと重量のある機器では、生地にかかる負荷が異なります。
また、角や突起がある収納物では、特定の部分に負荷が集中することもあります。収納物の重量や形状を確認し、生地の強度や厚み、ケースの構造を検討します。

持ち運び頻度
毎日のように持ち運ぶケースでは、生地表面の摩擦や折り曲げなど、繰り返し使用による負荷を考慮する必要があります。
一方、保管が中心のケースでは、持ち運びを前提としたケースとは重視する条件が異なる場合があります。

使用環境・温度
屋内で使用するのか、屋外へ持ち出すのかによって、必要な生地特性は変わります。
また、低温環境などで使用する場合は、その温度条件で生地の柔軟性が保たれるかなど、素材の温度特性も確認します。

水や汚れへの対応
屋外への持ち出しなどで水濡れが想定される場合は、撥水加工やコーティングなどを検討します。
ただし、「水をはじくこと」と「水を通さないこと」は同じではありません。どの程度の水への対応が必要なのかを整理することが重要です。

外観・風合い
ソフトケースでは、機能だけでなく外観や手触りが求められる場合もあります。
生地表面の質感、柔らかさ、色などを確認し、製品の用途やイメージに合わせて選定します。

用途に必要な生地の特性を整理する
使用条件が分かれば、次に「その用途では何の性能が必要なのか」を整理します。
たとえば、頻繁に持ち運ぶケースであれば繰り返し使用への耐久性、水濡れが想定されるのであれば水への対応など、使用条件から必要な生地特性を考えていきます。
| 使用条件 | 確認したい生地の特性 |
|---|---|
| 頻繁に持ち運ぶ | 摩擦や繰り返し使用への耐久性 |
| 重い機器を収納する | 強度、生地厚、構造 |
| 水濡れが想定される | 撥水性・防水性 |
| 低温環境で使用する | 低温時の柔軟性 |
| 外観を重視する | 風合い・質感・色 |
「この用途なら必ずこの素材」という単純な選び方ではなく、必要な性能を整理したうえで、具体的な生地仕様へ落とし込むことがポイントです。
ナイロン・ポリエステル織物は生地仕様まで確認する

ナイロン織物
ナイロンは、強度や耐摩耗性などを活かし、持ち運び用のケースをはじめ幅広い用途に使用される素材です。
ただし、ナイロンであればすべて同じ性能になるわけではありません。使用する糸の種類や太さ、織り方、密度、生地の厚み、後加工などによって特性は変わります。
たとえば、ナイロン66などの原糸を使用し、耐久性や耐熱性などを考慮して設計された生地もあります。
用途に必要な性能を確認しながら、実際の生地仕様まで見て選定することが重要です。

ポリエステル織物
ポリエステルも、ソフトケースに広く使用できる代表的な織物です。
ナイロンと同様に、使用する糸や織り方、生地の厚み、後加工などによって特性が異なります。
そのため、「ナイロンとポリエステルのどちらが優れているか」という考え方ではなく、収納物や使用環境、必要な性能に対して、どのような生地仕様が適しているかを検討します。
同じ素材でも生地の特性が異なるのはなぜ?
「ナイロン」「ポリエステル」という名称は、生地を構成する基本的な素材を示しています。
実際の生地の特性には、それ以外にもさまざまな要素が関係します。
基本素材

ナイロン・ポリエステル
使用する糸

原糸の種類・太さなど
生地仕様

織り方・密度・厚みなど
後加工

撥水加工・アクリルコーティング・PUコーティング・PVCコーティングなど
用途に必要な生地特性
たとえば、同じナイロンでも、細い糸で織られた生地と太い糸で織られた生地では、風合いや強度などが異なります。
さらに、撥水加工や各種コーティングを施すことで、水への対応などの機能を持たせることもできます。
そのため、「ナイロンだからこの用途に適している」と素材名だけで判断するのではなく、用途に必要な性能から、実際の生地仕様を確認することが重要です。
また、量産を前提とする場合は、必要な性能に加えて、生地の加工性や継続的な調達のしやすさなども考慮して仕様を検討します。
水への対応は「撥水」と「防水」を分けて考える
屋外で使用するケースなど、水濡れが想定される場合には、生地に求める水への対応レベルを確認します。

撥水加工
撥水加工は、生地の表面で水をはじきやすくするための加工です。
小雨や水滴などへの対応を考える場合に使用されますが、撥水加工された生地が必ずしも水の浸透を完全に防ぐわけではありません。

コーティング
生地の機能を高める方法として、裏面などに樹脂をコーティングする方法があります。
用途や必要な性能に応じて、アクリル、PU、PVCなどのコーティングを使用します。
同じ素材の織物でも、どのような加工が施されているかによって、生地の特性は変わります。
POINT|撥水と防水は同じではありません
撥水は生地表面で水をはじきやすくする性能で、防水とは分けて考える必要があります。
また、生地自体に防水性があっても、ケースには縫い目やファスナー、開口部などがあります。
そのため、防水性のある生地を使用していることと、ケース全体が防水であることは同じではありません。必要な防水レベルに応じて、ケース全体の構造を検討する必要があります。
PU・PVC合皮は風合いだけでなく使用環境も考えて選ぶ
合成皮革は、織物とは異なる表面の風合いや質感を持たせたい場合などに使用されます。
代表的なものとしてPU合皮とPVC合皮がありますが、それぞれの特性を理解したうえで使用環境に合わせて選定します。

PU合皮
PU(ポリウレタン)合皮は、比較的柔らかな風合いを持つ素材です。
一方で、PU合皮は、素材の種類や使用・保管環境によっては、湿気などの影響による加水分解が進み、時間の経過とともに表面の剥離などの劣化が生じる場合があります。
そのため、外観や風合いだけでなく、想定する使用期間や使用環境、保管環境なども考慮して選定します。

PVC合皮
PVC(ポリ塩化ビニル)合皮は、PU合皮とは異なる風合いや特性を持つ素材です。
PVCは配合によって柔軟性を持たせていますが、一般に温度が低下すると柔軟性が低下する傾向があります。また、配合や使用環境によっては、時間の経過とともに柔軟性が低下する場合もあります。
そのため、PVC合皮を使用する場合は、外観だけでなく、使用温度や使用期間、使用環境なども確認して選定します。
POINT|用途によっては化学物質規制への対応も確認
電気・電子機器関連など、用途によってRoHS指令への対応が求められる場合には、生地に含まれる化学物質についても確認することを推奨します。
アコモでは、RoHS適合証明や分析データ等で制限対象物質への適合を確認した材料を使用しています。
より詳しくは「環境規制への対応」をご覧ください。
用途別に見るソフトケースの生地選定例
実際の生地選定では、素材名から考えるのではなく、使用条件から必要な性能を整理していきます。
CASE 01|頻繁に持ち運ぶ機器

使用条件
日常的な持ち運びによって、摩擦や折り曲げなどの負荷が繰り返しかかる。
重視する特性
繰り返し使用に対する耐久性。
選定の考え方
素材名だけでなく、使用する原糸、織り方、生地の厚み、必要な後加工などを確認します。
CASE 02|屋外で使用する機器

使用条件
屋外への持ち出しによって、水濡れや汚れが想定される。
重視する特性
使用環境に応じた水への対応。
選定の考え方
必要な水への対応レベルを確認し、撥水加工やコーティングなどを検討します。必要に応じて、ファスナーや縫製部分を含めたケース全体の仕様も確認します。
CASE 03|低温環境で使用する機器

使用条件
低温となる場所でケースを使用する。
重視する特性
低温環境における生地の柔軟性。
選定の考え方
使用温度を確認し、その環境に適した素材を検討します。PVC合皮などを使用する場合には、低温時に硬くなりやすい特性も考慮します。
生地だけでソフトケースの性能は決まらない
ソフトケースの生地選びは重要ですが、生地だけでケース全体の性能が決まるわけではありません。
ソフトケースは、表生地だけでなく、芯材や緩衝材、裏地、ファスナー、テープ、各種パーツ、縫製仕様などを組み合わせて構成されています。

ソフトケースとしての性能
特に電子機器や精密機器などを保護するケースでは、生地を厚くするだけでは十分な保護性能を得られない場合があります。
収納物に合わせて芯材や緩衝材を配置し、ケース内部でどのように保持するかまで含めて設計することが重要です。
クッション材や芯材については、「ソフトケースに使うクッション材・芯材の選び方」で詳しく紹介しています。
ソフトケースの生地は用途に必要な性能から選ぶ
ソフトケースの生地選びでは、最初から素材名を決めるのではなく、収納物や使用環境から必要な性能を整理することが大切です。
01|何を収納する?
02|どこで・どう使う?
03|どんな性能が必要?
04|どんな生地仕様が適している?
ナイロン、ポリエステル、PU合皮、PVC合皮にはそれぞれ異なる特徴があります。
さらに、使用する糸や織り方、生地の厚み、撥水・コーティングなどの後加工によっても特性は変わります。
用途と使用環境を確認し、必要な性能から生地仕様を選定することが、使いやすく目的に合ったソフトケースを設計するための重要なポイントです。
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ケースづくりを続けて、40年以上。
生地が決まっていなくても、ご相談いただけます。
生地や詳しい仕様が決まっていなくても構いません。
収納する機器・用途・数量などをお聞きし、仕様から一緒に検討します。



